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ニコニコ会
雛のつるし飾り制作体験工房
東伊豆町民インタビューNO.32 ニコニコ会(前編)
本日は稲取地区が発祥の地とされる伝統工芸「雛のつるし飾り」の文化を守り継いでいらっしゃる「雛のつるし飾り制作体験工房ニコニコ会」のみなさんを取材させていただきます!
ニコニコ会の斎藤さん、鈴木さん、金子さん本日はどうぞよろしくお願いいたします!
まずは皆さんが制作に励まれている「雛のつるし飾り」についてお教えいただいてもよろしいでしょうか??
雛のつるし飾りは江戸時代後期頃からある、桃の節句に飾られる雛壇の左右につるして飾る稲取独自の飾り物です。
「桃」「猿」「うさぎ」「唐辛子」「ふくろう」などのパーツから構成される雛のつるし飾りの飾りには一つ一ついわれがあり、大きさや手法にはそれぞれの家庭の味が出るという特徴があります。
無病息災、良縁を願って親や親戚、近所の方が作り方を教え合い、各家庭の余り布で作り合っていたと言われています。
今となっては色鮮やかな生地を使って制作されていますが、当時はけっして豪華なものだけではなかったみたいですね。
子を愛する親の思いが代々受け継がれているということも特徴の一つだと思います。
代表的な飾りは「桃」ですが、桃は邪気・悪霊を退治し延命長寿を意味して、女の子の厄払いの願いを込めて作られています。
色・柄・生地によって様々な工夫ができるので、子を思う、愛することの形として表現されるものだと思っています。
つるし飾りの一つ一つに意味が込められていて、その集合体が雛のつるし飾りとなるわけですね。生地によっても多種多様なつるし飾りができるということで、娘さんへの世界に一つだけの贈り物になるわけですね!
それでは一度途絶えそうになっていた雛のつるし飾りの文化の復活と地域をPRするために始まった稲取地区の一大イベント「雛のつるし飾りまつり」の経緯についても教えていただいてもよろしいでしょうか?
平成5年、私(代表の齋藤さん)が旅館組合に勤めていたときに婦人会の皆さんが、この土地には雛のつるし飾りという魅力的な文化があるからそれを観光振興の素材として活用してはどうか?と話を持ちかけてくださいました。
旅館組合の役員さんたちもその話かけに応えて「雛のつるし飾りまつり」(2021年で24回目の開催)というイベントがはじまりました。
婦人会の呼びかけから「保存会」が立ち上がり、婦人会や旅館の女将たちや私達のような稲取の女性陣を中心に雛のつるし飾りの型紙起こしから活動がスタートしました。
雛のつるし飾りの作り方を知っている地元の方を講師に制作方法を習い、最終的には自分たちで作ったものを旅館組合に卸すという活動をしていました。
昔あった「キミノユ」という銭湯の番頭さんが、店番と合わせて縫い物が得意だったため講師として招いて勉強していました。
保存会の開始当時はどのような生地を使うのかを様々模索していて、カステラのパッケージに使われているような金箔の帯など、お菓子の包装なども利用してよく作っていました。
使わなくなったネクタイも使うこともありましたね。
雛のつるし飾りまつり開催当初は「富岡邸」という雛のつるし飾りの展示会場がありまして、その向かいにある漁協が持っている倉庫で雛のつるし飾りの制作キットを販売していました。販売当時団体客が多く、製作キットは大人気商品となっていました。
観光バスが会場の駐車場に停まると同時に、売り子である私達が「早くしないとなくなるよ〜」とバスに向かって一声かけます。
するとお客さんたちが我先に!と押し合いへし合いしながらキットを求めている光景は見ものでしたよ。
そちらの倉庫では20人規模の制作体験も行っていました。
寒い中での制作体験でしたが、お客さんたちはみな一生懸命に制作してくださっていましたね。
今となっては毎年春先に当たり前のように開かれている雛のつるし飾りまつりですが、長い歴史を刻んでニコニコ会のみなさんはじめいろいろな方々の思いや努力の上で開かれているということがよくわかりました。
それではニコニコ会さんの立ち上げの経緯を教えてもらってもいいでしょうか?
ニコニコ会設立前は、現メンバーのほとんどが保存会に所属しながら雛のつるし飾りを作っていました。
雛のつるし飾りまつりの際、商品として販売していた雛のつるし飾りが在庫切れになってしまうことがよくあり、せっかく観光で見えたお客様が稲取に雛のつるし飾りを求めてきくれているのに商品がないというのはかわいそうだと、深夜の1時や2時まで夜な夜な制作に打ち込んでいた仲間たちが、今のニコニコ会のメンバーとなっています。
雛のつるし飾りまつりが始まってからずっと制作に関わってきたメンバーが多く、いろいろな思い出を共有している仲間たちです。
なるほど、ニコニコ会は雛のつるし飾り文化の掘り起こしに関わったメンバーで構成されているんですね。
おもてなし精神がすばらしいこの土地の風土は皆さんのような方々が暮らしているからこそ根付いているんだなということを改めて実感させていただくインタビューとなっています。
前半はこちらで終了とさせていただきまして、後半のインタビューに移らせていただきたいと思います。
ニコニコ会のみなさん、後半もよろしくおねがいします!