稲取
岩瀬清敏さん
漁師
東伊豆町民インタビューNO.22 岩瀬清敏さん
本日は稲取の港で金目鯛漁の漁師さんとしてご活躍されている岩瀬清敏さんにインタビューをさせていただきます!
岩瀬さん本日はよろしくお願いします。
まず岩瀬さんの漁師としてのお仕事についてお教えください!
よろしくおねがいします。
ご紹介いただいたとおり、仕事は漁師で基本的には金目鯛の漁に出ています。
あとは、9月半ば〜12月にかけて、伊勢海老の漁も行っています。
岩瀬さんに一度金目鯛の漁に連れて行っていただいたことがあるのですが、稲取港から結構な距離、時間にして2時間ほど進んだところに漁場があったかと思います。
そちらへはどのようにして正確な位置を判断して漁を行っているのでしょうか?
漁場へはGPSを使っていつも行きます。
昔は山や島の重なりを目印に漁をしていたと聞きますが、今は機械を使いますね。
ポイントは複数あるので、潮の流れや風向きを事前にチェックしてから場所を決めて漁をするという流れです。
潮の流れや風向きは予報と異なることもあるので、最終的にはこれまでの経験から判断して、仕掛けを海に下ろしていきます。
長年の漁でのご経験が積み重なって確かなデータが岩瀬さんの中に蓄積されているのが伺えます。
自然の中では思いがけないことがたくさん起こるのではないかと思うのですが、今までどのような体験をしてこられたかお話いただけないでしょうか?
海の生き物でいうと、イルカやマンボウ、クジラなどと遭遇することがあります。キンメ漁の仕掛けを上げているときに、ジンベエザメが船底までやってきたこともありましたね。
それと漁に出ると半日ほど海に出ていることになるので、風の強さや潮の流れが変わってくることがあります。
そういうときに海が荒れてしまう場合があって、何度か船に波がかぶって船が沈むギリギリのところで帰ってくることができたという経験がありますね。
やはり自然相手ですと、予想できないことがたくさん起こるんですね。
ご無事で何よりでした!
岩瀬さんが漁師になるまでの経緯を教えて下さい!
水産高校を卒業してから、父の船に乗る形で漁師になりました。
漁師になって1年ほど経って、自分が二十歳のころから今の船を使っています。
かれこれ今の船に35年ほど乗っていることになりますね。
35年とは、自分よりも先輩なんですね…!
さぞかし大切に乗ってこられていることかと思うのですが、船のメンテナンスはどれくらいの頻度で行うものなんでしょうか?
エンジンのメンテナンスはこまめに行います。
あとは半年に一回、船底にカキやヌマという海藻が付着するのを防ぐための特殊な塗料を塗り替えます。
船底にそれらが付着してしまうと、海を走るときに水の抵抗を受けてしまい燃費が落ちてしまうので、稲取の船の船底はどれも赤く塗られているのを見ることができますよ。
それと、船体が黄ばんだり、傷ついたり、塗料が劣化してきたらその都度手入れをしています。
ありがとうございます。
海の上だけでなく、海に安全に出るための備えを陸でも行っておくことも漁師さんの仕事の一つということを学ぶことができました!
それでは、ここからは港町である稲取についてのお話を伺っていこうと思います。
稲取出身の岩瀬さんの印象に残っている昔の稲取について教えてもらいたいです!
漁師の仕事で今と違うところは、キンメ以外の漁をしている漁師がそれなりにいたことや、船に乗りあって漁をしていたということがあるかと思います。
モウカザメを取りに行っていた漁師もいましたね。
造船所も数件あったと記憶しています。
それと、稲取港と伊豆大島をつなぐ定期船が出ていて、たしかシーホークが出ていたかと思います。
なるほど、漁師さんのお仕事の仕方も時代によって変化してきたのかなということが伺えました。
岩瀬さんは稲取でどのような幼少期を過ごされてきましたか?
子どものころは、釣りをしたり、泳いだり、潜ったり、ラムネ(※)したりと海が遊び場でした。
今ではありませんが、遠泳大会なども堤防の外側で行われていましたよ。
あとは駄菓子屋で遊んだり、家の前で近所の友だちたちとS(エス)という遊びをしていたのをよく覚えています。
※ラムネとは、堤防から海に飛び込む稲取の遊びの呼び方。着水の際、気泡がたくさん海中にできることが名前の由来とされています。
小さい頃から海が近くにある暮らしだったんですね。羨ましいです!
それでは最後に漁師さんである岩瀬さんから見た、東伊豆町ってどんな町か教えてもらってもいいでしょうか?
変に発展しない町並みがいいんじゃないかな。
帰ってきたいと思う人もいると思うし、住んでみたいと思う人もいると思います。
都市部には何かに追われて暮らす人もいるかもしれないけれど、ここではそこまで焦らずにのんびり暮らしていけます。
物々交換という文化が驚かれるけど、そのような体験してしまったらどんどんこの町の良さにハマっていってしまうと思います(笑)
漁師も農家もいる町なので、海の幸と山の幸がたくさんあります。
物々交換を意識しているわけではありませんが、今の時期(冬期)だと磯で集めたのりを干して作るはんばのりを農家さんにあげたらお返しに農産物をもらったりしています。
お金の価値では測ることができない魅力がこの町の文化として根付いていること、移住者である自分も実感しながら日々暮らしています。
岩瀬さん!
この度は漁師さんのお仕事の話からこの町のいいところのお話までたくさん聞かせていただきありがとうございました!