INTERVIEW

  1. HOME
  2. インタビュー
  3. 東伊豆町民インタビューNO.51 森田七徳さん

住む
森田七徳さん
東伊豆町役場企画調整課課長

東伊豆町民インタビューNO.51 森田七徳さん

荒武
荒武

本日は東伊豆町企画調整課課長の森田七徳さんにインタビュー。

まちづくりの最前線で移住やワーケーション促進などに取り組まれている企画調整課でのお仕事のことや役場に勤める中でどのようなことをお考えなのかを伺っていけたらと思います。

森田さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

まず最初の質問です。

20代のテレワーク可能な移住者が町に増えてきている印象ですが、役場ではこの動きをどのような見方で捉えていますか?

よろしくお願いします。

 

シェアオフィス「EASTDOCK」の稼働がコロナをきっかけに増えてきています。

特に20代の利用者世代を中心に住まいを東伊豆に移してくれていて、これは若い人たちの人生に対しての考え方が変わってきてフットワークが軽くなっていることを示していると思います。

求められている刺激が東京では得られないものにかわってきているのかもしれません。

また、東京は何をするにも誰かが物事を始めていてレッドオーシャンなのに対して、地方は担い手が減っているため、スキルを活かせる機会が多く、田舎ならではの余白や自由を魅力に感じてくれているようにも感じています。

接する密度が濃いのが魅力のひとつなのかな。

東京にいると同じ世代や業種の人との交流に偏ってしまいますが、東伊豆にいると多世代で交流できる面白みがある。

例えばダイロクキッチンだと、見ず知らずの人に自然と「どちらからいらしたんですか?」と話しかけやすいので、地元に住んでいる身からしても偶然の出会いがを楽しめています。

 

これから20年で5,000人くらい人口が減る見込みなので、東伊豆に関わっている人を倍にできたら、ひょっとすると今よりもにぎやかな生活を送ることも可能だろうなと思っています。

ダイロクキッチンのような場所の可能性はまだまだ引き出せそうですね。

森田さん
森田さん
荒武
荒武

確かにダイロクキッチンでは不思議とコミュニケーションが生まれる印象を持ちますね。

住む人は減ってしまうけれど、東伊豆のことを思う人との交流をその分増やせれば体感的にはより濃密に人と繋がれる可能性がありそうです!

それでは関係人口・ワーケーションユーザーと町の接点をどうしたら深めていけそうか、森田さんのお考えを教えていただいてもよろしいでしょうか?

地元の人に伝えていく努力をしないといけないかな。

地元サイド、特に東伊豆町役場の職員たちが外と交わる機会をもっと作れたらいいなと思っています。

 

役場の仕事は主に町民相手にする仕事だから内部で完結しがちなので、仕事としてではない領域で、外とつながる面白さを体感してもらいたいです。

仲間内で遊んでいたら楽しいというのもわかりますし、成長のイメージが実感として持ちにくいというのがあるのですが、本当は外からの刺激を味わってほしいんですよね。

話題になるまちづくりをしている地域って、市役所とかから積極的に交わっているなあと見させてもらっているので、若い人は少ないけど、自分たちの仕事なんだとプレイヤーになってくれるような職員が現れてくれるといいですね。

 

そういう点では人材育成の文脈で、研修的に外部とのつながりを作るようなことも考えられそうですね。

日々の仕事って法律に基づいて処理していくことが多いのですが、自分で何か作る喜びを若いうちから知ってもらえるといいんだと思います。

森田さん
森田さん

荒武
荒武

小さな成功体験を積み重ねてもらうことで外部との交流を促していけると良さそうですね。

 

いつも思うのは、森田さんのように外からの意見を積極的に取り入れる姿勢は役場だけでなく自分自身も学ばないといけないと思います。

そこで、ぜひ森田さんから学べることがあると思うので、今一度ご経歴についてお教えいただいてもよろしいでしょうか?

最近携わった部署が企画調整課から観光産業課から企画調整課へと異動してきた経緯があるため、役場の中でも対外的に仕事をする機会が多かったように思います。

町の取り組みについてお話をさせてもらうような依頼があるときは直接ご指名をいただくことも多いです。

 

私の転換点が訪れたのは財政係に勤めていた時代で、当時町として風力発電を導入するかどうかどうかという議論が出ており、私は予算などを管理する財政係の頭で仕事をしていて、風車の建設に反対の姿勢でいました。

その翌年、風車は導入されることとなり、私が異動先として割り当てられたポジションが風車建設の担当でした(笑)

当時を振り返ると、性格上新しいことが好きだし、どうせやるなら成功させようという気持ちではいたのですが、私も町の内側で仕事をしている職員の一人だったなと振り返ります。

ただ、風車のことを知っている人が身近にいなかったため、勉強のためには企業や大学と交流を持ちながら仕事をする必要がありました。

町の外の人たちとの意見交換することに面白みを見出すようになってからは基本的に今のような来る者拒まずなスタンスでいるように心がけています。

当時はインターネットが活用され始めてきた時期で、風車導入事例もそこまで多くない時期だったということもあり、町ではホームページを作ったり、事業の経緯を記載していた個人のブログが風力発電・環境問題の関係者に読まれるようになったり、勉強のためにシンポジウムなど参加したときに声をかけられるようになったりと、情報発信する人のところに情報が集まるようになるんだという学びがありました。

 

風車が完成してからは見学会を実施していまして、実施初年度は夏休みの親子づれの見学をターゲットとし、とにかく参加しやすくしようということで時間を制限せずに予約制でやったところ多忙を極めたため、翌年からは負担が軽減されるよう一日二回制にして運用するような改善も重ねてきました。

 

仮説立て、検証といった工夫することの楽しさを感じることができた風車導入事業での体験は、私の公務員人生を大きく変える出来事になりました。

きっかけがあれば既存の考えの外側に他の職員もやりがいや面白さを感じることができると思うので、外の人材との交流を生み出して、若手職員にもその人なりの成功体験を積み重ねてほしいですね。

 

外に気持ちを開いているというマインドを持つだけでも仕事のやり方が変わってくるのではないでしょうか。

森田さん
森田さん
荒武
荒武

森田さんにも風車導入の課程で外部の人達との交流で生まれた成功体験があったんですね!

外とつながることで新しい可能性が拓けるという経験をどのようにデザインできるのか…探っていきたいところです。

次の質問ですが、直近の挑戦についてどんな取り組みが動き出しそうかお教えいただきたいです。

様々なメディアにでることで東伊豆の認知が広まっており、いい風が吹いているので関係人口予備軍がもっと増えるといいですね。

ワーケーションも施設が乱立し始めているので、誘致合戦ではしょうがないため、新しいコミュニティが集客の魅力となってくるのではないかと見ていて、コミュニティを広げて深めていくことがワーケーションや関係人口拡大に必要なことだと捉えています。

 

来年度は町の10年間の指針になる総合計画を作るので、色んな人の意見が聞ける場を作っていきたいと考えていて、人口が減っても寂しくないまちづくりを目指すことを指針の中に入れたいです。

 

40代の頃は自分の限界を感じていて、このまま50歳あたりで管理職について定年退職するというが想像できてしまうことに閉塞感があり、もう辞めてしまおうかと考えていましたが、外から来た人たちが町で活動する中で楽しい雰囲気が生まれはじめてきたので、もうひと踏ん張りしてみようという気持ちになったことを覚えています。

 

そして私が最後の役場人生かけて取り組んでいきたいことが見えてきました。

それは、東伊豆町役場の職員の中に外に開かれたマインドを持った人材を育てていくことです。

 

職員はほとんど町内から毎年5人ずつくらい採用しており、総務課が新入職員研修を行っていたり、静岡県主催の全体研修がありますが、初年度から外部とのつながりが生まれるような仕掛けが考えられたら良さそうです。

 

町が推進している大学連携で町内企業に就職してくれるような人も出てきているので、連携している大学からも積極的に就職を希望してもらえるような受け入れ体制も整えて行きたいですね。

採用過程にも特徴を作れたらいいだろうなあ。

森田さん
森田さん
荒武
荒武

夢が広がりますね!我々の取り組みが少しでも地域の希望になったら本望です。

これからもどんどん連携しながらこれからの町を一緒に考えていきたいです!

最後に今後の展望や見据えている未来などありましたらお教えいただきたいです。

人口が減ってもうちの街で暮らしていることが豊かだな、寂しくないと感じられるようなポイントを作ることが大切だと思っています。

全面的に維持していくことはきびしいかもしれないので、ポイントを絞りながらですね。

例えば、近所のカフェで知らない人と交流が生まれたとします。

そこにはきっと新たな刺激や充実感が生まれるはずなので、そういった些細なポイントを発展させていけたら理想に近づくかもしれません。

人口減=衰退という価値観を転換していかないとなとも思っていて、人口が減っても豊かな生き方ができるんだという価値観の転換をしつつ、限られたリソースを活用しながら不便になりすぎずに、来た人たちに対しても豊かさを感じてもらえるまちづくりをしていきたいですね。

 

それと城東地区のポテンシャルを高めたいという思いを持っています。

自宅近所にあった「はまよし」という憩いの場となっていた昔の喫茶店がなくなってしまったことによって、喫茶店・カフェの要素が地域になくなってしまったので、来年度奈良本けやき公園の地域おこし協力隊を採用して、連携しながら充実した「場」ができたらいいなと考えています。

森田さん
森田さん
荒武
荒武

人口減をネガティブに捉えない考え方がこれからの縮小社会には大切な視点になってきそうですね。

これからもたくさんの交流が生まれる東伊豆であり続けられたらいいなと思います。

森田さん、この度はインタビューにお答えいただきましてありがとうございました!