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加藤智恵美さん
静岡県農林技術研究センター
東伊豆町民インタビューNO.31 加藤智恵美さん
本日は静岡県農林技術研究センターの加藤智恵美さんにインタビューをさせていただきます。
加藤さんどうぞよろしくお願いいたします!
まずはこちらの研究センターの役割についてお教えいただいてもよろしいでしょうか?
よろしくお願いします。
当センターでは伊豆地域の特産となる農産物について的を絞った品種の育成や研究をしています。
具体的には、カーネーション・マーガレット・キンギョソウ・柑橘類・オリーブ・河津桜などの研究です。
伊豆半島の農業は観光業と密接な関係にあるので、観光の素材として提供できる農産物についての研究というのも重要なテーマになってくると考えています。
私はこちらの研究センターに来て7年ほどカーネーションの栽培技術に関して研究をしています。
詳しくお教えいただきありがとうございます!
こちらの施設では一般向けに見学なども行われているのでしょうか?
はい。
年に一回、2月上旬に一般の方に向けた情報発信の場として公開DAYを設けています。
その季節はたくさんの種類の柑橘類が収穫できるので食べ比べや販売を行ったり、施設を見学することができるイベントを開催しています。
事前に申込いただけたら見学を受け付けることも可能です。
また施設内には、東伊豆町のアメダスポイントもあるんですよ!
伊豆の農業全般に精通されている研究センターなので、見学させていただいたら見どころがいっぱいありますよね!
加藤さんはどのような経緯で今こちらでカーネーションの研究をされているのでしょうか?
私の出身は群馬県で、静岡県に公務員として採用され、初任地が伊豆農林事務所でした。
そちらでご縁がありまして東伊豆町の方と結婚したのをきっかけに伊豆で暮らしています。
定期的に転勤があるので、沼津の農林事務所に勤務しているときもあれば、今は無くなってしまいましたが南伊豆町の農林試験場で勤めていた時期もありました。
終始農業に関するお仕事に携わっています。
そうですね。
カーネーションて実は、静岡県産として出荷されている7〜8割が伊豆産で、伊豆はカーネーション栽培が盛んに行われています。
伊豆半島のカーネーションの歴史は戦前の南伊豆から始まっていて、温泉熱を利用した栽培方法だったそうです。
当時から土地の特性を活かした園芸が行われてきていて、伊豆半島は傾斜地が多く狭い農地しか確保することができないので、その中で効率よく稼ぐことができる品目が残ってきたという経緯があります。
広大な面積の大型農業ではなくて、地形を活かして狭い農地でいかに収益を上げるかを考えた結果作られてきている農産物が、みかんでありカーネーションでありキヌサヤエンドウ、わさびだったりするわけですね。
カーネーションに関しては、南伊豆から始まった栽培が徐々に北上してきて、現在では稲取地区で多くのカーネーションが生産されるようになっています。
とても詳しくお教えいただきありがとうございます!
カーネーションを研究される中で、実際に生産に携わっているカーネーション農家さんとの連携はどのような形で取られているのでしょうか?
農家さんたちとのつながりは非常に密接です。
実際にカーネーション農家さんの畑に赴き現場調査やヒアリングをして課題の洗い出しを行ったり、新しい技術が組み上がってきたら農家さんたちに試していただいたり、新品種についての共同研究をしています。
周辺の農家さん全般に言えることですが、技術を独り占めするのではなく、手の内を全部明かしてみんなで情報共有しながらやっていくという気質がこの土地の農家さんたちにはあると感じる場面が多いですね。
私達も情報共有をしながら、常に生産性の向上や品質改良に努めています。
地域全体で良くなっていこうというお考えが根本にあるんだろうなと感じるお話でした!
更に詳しく稲取のカーネーション農家さんたちについて詳しく教えてもらいたいです!
今カーネーション農家をやっている中心の世代が40〜50代です。
彼らは伊豆でカーネーションが始まってから数えると第3世代に当たるのですが、次の第4世代にバトンを渡していくことが一大テーマになってくるのかなと考えています。
第3世代のメンバーはまとまりがあって、伊豆花人(いずはなびと)というグループを結成し定期的に集まりながら、カーネーションの日持ちを長くするための研究活動などを情報交換する機会を作っています。
その第3世代の農家さんたちの息子さんや研修生が弟子入りという形で徐々に現れ始めているので、うまく技術を引き継いでもらい私も大好きな伊豆のカーネーションが続いてほしいなと思っています。
また東伊豆のカーネーションは標高が低いところから標高約350mの間で作られており、それぞれの品種が得意な気候で育てられているという特徴があります。
売り先は主に東京になるのですが、そちらの市場に東伊豆産のカーネーションが出回る期間が長くなります。
ということは安定供給され、それが信頼につながり、都市部のお花屋さんなどから品質も良く、長い期間仕入れることができるとして東伊豆のカーネーションは評価を勝ち取っています。
土地の特性を活かした農業が出来上がっており、さらにそこから研究を重ねてより良くしていこうと加藤さんをはじめとしたカーネーション農家さんたちのお仕事に向き合う姿勢にとても感動しました。
このような生産の現場を知ってくれる方、消費者や地域のことを勉強している学生さんなどにどうカーネーションと関わってもらいたいとお考えですか?
農作物そのものを深く知ってほしいという気持ちがあります。
私は花の担当なので強く思うのですが、花を買ってもらいたいです!
花を飾るという文化が若者に浸透していないので、一本でもいいから花に親しむ機会を持ってもらえたらいいなと思っています!
東伊豆で購入するとなったら直売所のこらっしぇで購入することができますよ。
カーネーションに関してはみなさんの研究の会もあって日持ちするし、見応えがありますよね!
加藤さんご自身にカーネーション愛があることが、インタビューからとても伝わってきました。
また仕事に熱中されている加藤さんのお話は知識としてだけでなく、これからの世代にも今まで積み重ねてきたカーネーションのノウハウをつなげていきたいという思いが込められていることを感じました。
加藤さんこの度は取材にお答えいただきまして誠にありがとうございました!