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稲岡郁音さん
東伊豆町民インタビューNO.68 稲岡郁音さん後編
前半に引き続き稲岡郁音さんにお話を伺っていきます。
高校への進学で文系探究コースのある第一志望の高校へ進学されて、どのようなテーマの探求をされたのか教えてもらってもよろしいでしょうか?
私が所属したクラスは探究活動を希望する子と進学コースの子が混合したクラスでした。
部活で郷土研究をしていたので、探究活動ではそれとは異なるテーマを選んで「キャリア甲子園」に取り組みました。
キャリア甲子園とは企業の人の出すお題に沿って、高校生がアイデアを出すというビジネスコンテスト型探求学習プログラムで、日焼け止め商品をZ世代に絶大な人気を得るためには?というテーマに取り組みました。
グループを組んだ友達と取り組んだからこそ得られるものが多く、ターゲットのニーズや企業のジーズを汲み取って商品を考えるということ自体が初めての経験だったので、新しい視点を手に入れられた感覚でした。
今まではあることをまとめる、学ぶということが多かったから、一人では取り組むことが難しい課題もグループで力を合わせて意見を出しながら、いい方向にプランを作っていけたのですごく楽しかったです。
他のグループは別のテーマに取り組んでいたんですが、3月に全体の発表があって、英語の研究をしているグループや、西伊豆町が展開する地域通貨「サンセットコイン」から地域通貨について考えるという探究をしているグループなど、多種多様な探究発表も聞けて有意義な授業でした。
カリキュラムとしては高校2年の1年間が「文系探究コース」で探究活動が行える期間でした。
なるほど、進路選択のきっかけになった文系探求コースのカリキュラムでも有意義な時間が過ごせたんですね。
高校生のうちから様々な視点が得られる機会に恵まれているのがとてもうらやましい!
ちょっとお話が出てきましたが、高校時代の部活の郷土・歴史研究のことについても教えてもらってもいいでしょうか?
所属していたのは文芸郷土研究部という部活で、入部当初は先輩がちょうど抜けてしまい、部員が誰もいない状態で、同級生の部員と二人で活動していました。
部員がもうひとりいて、一人じゃなくてよかったし、とても救われました。
研究することに興味を持ったのは、小学校の総合の授業で取り組んだ新聞作りがきっかけで、私にとって小学校の郷土を知るというのは重要な時間でした。
部活を通して研究するテーマを選ぶ際は、顧問の先生や高校の社会科の教諭だった父とも相談し、源頼朝の伝説が伊豆各所にあって、資料も豊富にあることから研究テーマとして設定しました。
意識はしていなかったんですが、ちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送もあったので、伊豆の国市の大河ドラマ連動イベントで発表したこともあります。
人前で話すことは緊張しますが、そういう機会に話すタイミングはめったにないからありがたい経験でした。
先生にご指導いただきながら研究を進め、県大会では1年生のとき行った頼朝の研究を発表して最優秀賞を受賞。
全国大会出場ということになり鳥取県にて発表予定でしたがコロナの影響で動画を送るという形の開催になってしまって、他の研究を見ることができずちょっと残念でした。
翌年は同期の部員が進めていた今川義元の研究を県大会で発表し、2年連続で最優秀で全国大会に進出することに。
例年、最後の部活は6月に開かれる文化祭での研究発表なのですが、全国大会は7月に開催されていたので、そこでの発表が最後の部活動となりました。
ちなみに今年も後輩が取り組んでいた研究が最優秀賞、3年連続で全国大会に出場しています!
2人しかいない状態ではじめたけど、後輩が入ってくれたからよかったです。
改めて振り返ると、同期の部員にも先生にも恵まれた部活動だったな。
部活動でも素敵な経験ができたんですね!
それにしても全国大会への出場率がすごい…!!
高校生活からちょっと話が変わってしまいますが、稲岡さんが抱いている東伊豆に対しての課題感はどのようなところにあるかお教えいただいてもいいでしょうか?
この町で育つ子どもの将来の選択肢が少ないことを課題に感じています。
都会に比べて、仕事など将来の選択肢が少ないなかで、いかに多様な生き方・働き方を知っていけるかということは、生きていく上でとても重要なことです。
立地的に地域の外側に出て広い世界を知ろうにも交通費がかかってきたり個人で行うには負担が大きいという状況もあります。
中学校でキャリア教育という授業があったんですけど、当時は話を聞いてもどうしようもないのでは?と思っていたけど、今思うともっと幅広く選択肢が広がるようなカリキュラムに取り組めたらよかったなと思っています。
私は東伊豆に戻ってくるつもりですが、神主以外の選択肢を知っていることは無駄にはならないし、たくさんの生き方を知ることに意味はあるなと考えていて、私のように東伊豆に戻ってくる人もいると思うし、学校で勉強しているだけでは知ることができない多様な生き方を学べる機会は、行政と学校が連携して環境を整えていってもらえたらいいなと。
また、そういう機会に積極的な人だけではないので、いろいろな人に知ってもらうためにはどうしたらいいのか?ということも考えていかないといけません。
私は、何かあったときにいつもお母さんに話を聞いてもらってきました。
家族の信頼関係構築の面でも、そういう時間を意識的にとって関係性を築いていくことが大切だなと思っています。
東伊豆でこれから子育てをしていく身としては非常に考えさせられるお話ですね…
選択肢の幅をいかに持ってもらえるか、技術が発展している世の中だからこそ本当は可能性が無限大なのかなと思ったりもしますね!
最後に、稲岡さんのこれからについての将来展望を教えていただきたいです!
伝説について高校の部活で研究してきたということもあり、大学は文学部に進学して民俗学を探究していきます。
その後に神主の資格を取って、東伊豆に戻ってくる予定です。
神主を継ぐのですが、人口も減っているので、何足かのわらじを履きながらやっていくことになるのかなと思っていて、まだどんな仕事ができるといいのかはわかっていないけ大学生活のなかで、自分自身で選択肢を広げていけたらなと思っています。
この町が好きだから戻ってきたいし、地元のためになることをできたらと考えていて、大学で文芸・郷土研究をしていきたいから、町の歴史に関連した何かができたら理想ですね。
施設を作ろうと言うよりは、コミュニティとして、場所というよりも人と人がつながることに貢献できたらいいな。
東伊豆には移住者・大学生がたくさん来てくれていると思うんですが、この町の子どもは外の大人と関わる機会が少ないからそういう機会を作りたいですね。
狭い世界かもしれないけど、外の人との交流で広い世界とふれあえる機会は作れるはずです。
その観点でいうと、地元の感覚として移住している人に対し壁を感じています。
地元は地元、移住者は移住者で固まっているのはもったいないので、みんなで関わり合っていけるコミュニティができるとこの町が今よりもっと明るくなるんだろうなと思います!
課題として挙げてくれた、選択肢の少なさも外からやって来る人たちに力を貸してもらえたら解決に向かう部分もありそうです。
稲岡さんがおっしゃるとおり、地元と移住者が混ざり合う機会って現状なかなか生まれていないので、そういう交流が自然に生まれる状態を作っていけるといいですね!頑張りましょう。
この度はたくさんお話を伺わせていただきありがとうございました!!!