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鈴木敦士さん
地域おこし協力隊
東伊豆町民インタビューNO.62 鈴木敦士さん
本日は今年度より「奈良本けやき公園(以下、けやき公園)」の活性化をミッションに活動されている地域おこし協力隊の鈴木さんにインタビューさせていただきます。
鈴木さんどうぞよろしくお願いいたします!
まず、鈴木さんが東伊豆町の地域おこし協力隊になったきっかけをお教えいただいてもいいでしょうか?
よろしくお願いします。
私は、2021年の12月に埼玉県から家を取得し東伊豆町へ移住してきました。
移住するにあたって東京にある移住相談センターを訪ね、静岡県の移住担当者さんから色々情報を頂き、そのつながりで家を紹介してもらいました。仕事に関しても移住相談の時に知り合った方に地域おこし協力隊を東伊豆で募集していることを聞いて、町の移住担当の職員さんを紹介してもらい、その足でその方を訪ねました。その募集内容が東伊豆町の奈良本地区にある「けやき公園」の活用を担う枠でした。
将来的には伊豆でカフェやキャンプ・コテージなどの運営をしてみたいなという思いがうっすらとあったので、これは地盤を築くにはもってこいの制度だなと。
また何もつながりのない外部の人間が地域に溶け込むのはとても難しいことだと思っていたので、行政に所属しつつ、仕事ができることに魅力を感じて地域おこし協力隊に応募することを決めました。
東伊豆で暮らしていくには町に溶け込む必要があるという鈴木さんのお考えに、とても共感しています!
地域おこし協力隊の任期は3年と長いようで短いのでいかに有意義に使うことができるかがその後の自活に直結してくるんですよね。
鈴木さんが活動拠点とされているけやき公園ってどのような公園なんでしょうか?
けやき公園はもともとホテルがあった土地を町が寄付受領して空き地になっていた土地で農家さん同士のコミュニケーション拠点とするため20年ほど前に中山間地域の振興発展事業の一環として整備された場所になります。
施設内には足湯や陶芸の窯、調理室が整備されている他、最近までは小水力発電のできる水車もありました。
これまで複数の地域団体によって運用されてきましたが、利益団体に対しては利用料金が高く、自由な活用を促進していくことが条例的に難しく、継続的な運営が実現されてこなかったという背景があります。
町としてはその状況を打破したいという思いがあり地域おこし協力隊の制度を導入して活性化を目指すことが決まったそうです。
なるほど、これまで持続的な公園運用に課題があった場所なんですね。
そんなけやき公園での、地域おこし協力隊の活動内容は自由提案型の募集だったと記憶しているのですが、鈴木さんはどのような展望を応募当時思い描かれていたのでしょうか?
応募当時はけやき公園内のきぼうの館にてカフェを営業し、デイキャンプやドッグランの開設を提案しました。
公園という用途上一泊二日のキャンプは難しいと考え、BBQも楽しめるようなデイキャンプのスペースがあったら需要がありそうだなと考えたほか、ドッグランは伊豆高原までたくさんあるのですが、それより南にはあまりないためペット連れの観光客に熱川エリアまで足を伸ばしてもらえたらいいなという計画です。
あとは、きぼうの館のスペースの一部で小さなイベントもいくつか計画している他、地域の人達の楽しみとなっていた「里の朝市」も違った形になるかもしれませんが復活させたいと思っています!
ハードが整っているけやき公園を、どのような用途で活用していくのか?誰に喜んでもらえる運用ができるといいのか?という考え方が重要になってくるんだなということを鈴木さんのお話から感じました。
鈴木さんとしてはそれらの計画をどのような順序で展開する予定なのでしょうか?
公園に常駐し始めて地域全体としてけやき公園を活用してほしいという思いがひしひしと伝わってきたので、できるところからやっていこうと考え、まずは役場から要望のあったワーケーション拠点の設備から着手しました。
けやき公園は自然を感じられる場所なので、場所の特性を活かした雰囲気にできたらと、会議テーブルを伊豆の杉材で化粧するなどして公園と室内の雰囲気を合わせたり、利用者の声を聞きながら会議室の需要があるということがわかったので会議ブースも整備しました。
ワーケーションとしての拠点整備としては必要最低限できたかなと思っていて、最近ではオフィスとしての利用はもちろんのこと、大学生のリモート講習でも喜んで使ってもらいました。自然の中で静かに過ごしてもらえる場所なので、環境を変えてゆっくり集中したい人におすすめですね。
続いて現在整備を進めているのがカフェです。
グランドオープンは2022年9月11日予定で、まず、ドリンク、サンドイッチを中心に提供し、徐々にメニューを増やしたいと考えています。。
ただ自分自身、地域おこし協力隊としてカフェ専任ではなく他のけやき公園活性化業務を担っていく必要があるため、必要以上にメニューを増やさず、できるだけ良いものを提供し、のんびり交流できる場を作っていけたらといいなと思っています。
鈴木さんが地域おこし協力隊になられて、着々とけやき公園の整備が進んでいる様子に感動しています…!
拠点を運営される中で、地域の方々とも接点を持たれている様子が伺えたのですが、みなさんと交流を深める中で東伊豆町のどのような側面を見つけることができましたか?
直近だと、ほしそらシネマIZUという地域団体のイベント実施に携わりました。
関わるタイミングがイベント来場者数を400人規模から1000人規模のにしようというタイミングで、地域の大規模なイベント運営に関わることができて学ぶことが多かったです。
メンバーそれぞれが仕事や事業を活かせる強みを持っていて、それらを集結させたイベントで、都会ではない形だなと感じました。
ほしそらシネマの実行委員には土木関係や内装屋さんなどのメンバーがいて、イベント業者に仕事を発注するということがほとんどなく、レンタル品以外ほぼ自前で作り上げられたイベントでした。
多様な業種で構成されたメンバーが所属しているからこそ、地域内でイベントを完結させることができるんだと思います。
地域おこし協力隊に就任してまだ4ヶ月ですが、かなり濃い4ヶ月で、ほしそらシネマのイベント実施だけでなく、6月に行われたホタルの鑑賞会のお手伝いもさせていただいて、イベント中はもちろんのこと幼虫の採取を手伝わせてもらうなどイベント後の整備にも関わらせてもらいました。
ほしそらシネマの実行委員会が30-40代のメンバーで構成されているのに対して、ホタルの会のメンバーは60-80代で構成されています。
世代や活動は違えど、どちらの団体にも共通して「地域を良くしたい」という思いがあります。これらのイベントの実行委員会などに関わらせていただいて、奈良本地区や東伊豆を良くしていこうという人がこんなにたくさんいるんだなということに感銘を受けました。
あと、ホタルの会のメンバーのお子さんがほしそらシネマのメンバーにいたりということがあって、自分がその親子の共通の話題になっていたらすごい嬉しいことだなと。
奈良本地区の活性化には地元の人の力が不可欠なので、どちらの活動にも今後もできる限り参加させていただきたいですね。
移住当初は、地方地域の特徴として東伊豆町も、変化を求めず現状維持で暮らしているような保守的な人が多い町なのではないかと思っていました。
しかし移り住んでみて、この町の課題を打破しよう、新しいことをやろうという思いで溢れていて、とても新鮮でした。
とにかくチャレンジを受け入れてくれる町なので、今では地域おこし協力隊に就任できてよかったなと思うと同時にそんな町での暮らしを楽しませていただいています。
鈴木さんのお人柄ももちろんだと思いますが、地域おこし協力隊という立場だからこそ地域の輪の中に入りやすいという特性がありますよね。
ここまでお仕事の面でお話を伺ってきましたが、プライベートの面で鈴木さんが東伊豆ライフをどのように送られているのかお教えいただいてもよろしいでしょうか?
私も妻も山も釣りも好きで東伊豆に暮らすことを選んだという経緯があります。
犬がいるので家の庭が広いところを選んだのですが、整備がとても大変な状況です…
引っ越した当初すでに庭はジャングルで、そこを犬が歩けるように整備するのにとても骨が折れました。
現在も仕事でも家でもボランティアでも草刈りをしていて、休日は草刈りの合間に釣りに行くという生活になってしまっています。
家も築年数がだいぶ経っているため随時リフォームを進めていて、断熱材を入れて床を貼り替えたり壁に杉板を貼ったりしています。
他にもチャボを飼ったり、庭で畑をやったりもしています。
草刈りからおうちのリフォームまでやられているとは!お仕事の面でも感じましたが、鈴木さんはオールマイティになんでもこなすとても器用な方なんだということがわかりました!
最後に、鈴木さんの現段階の将来の展望をお教えいただけますでしょうか?
協力隊の活動ではこれから種まきをしなければならないと考えています。
前提として任期終了後はけやき公園の指定管理人を担う可能性はありますが、まだまだ稼いでいかないといけない年代なので収入源はそれだけでは不十分だということが想定されます。
公園を管理しつつカフェもオープンしてちょっとしたイベントやりつつ、もう一つもう二つビジネスの柱となる種を撒いていけたらいいなと思っています。
気をつけないといけないのはボランティア感覚で活動を始めてしまうとビジネスに転換する際にそれ自体が大きな障害になる可能性も出てくることです。
ボランティアでは手伝ってくれていた人もビジネスになったら手伝ってくれなくなるということも考えられるので、なるべく自分が将来自立することを前提に活動しているんだということを認識してもらった上で、地域のみなさんとも関わりを作っていけたらいいんだろうなと思っています。
地域おこし協力隊は任期満了が3年という短い期間の間に、その土地で自活の道へ移行しなくてはならないという仕事でもあるので、鈴木さんのおっしゃるとおり地域側の認識づくりもとても大切なことだと感じています。
鈴木さんにはぜひとも任期終了後の糧となるビジネスの種をたくさん任期中に撒いていただけたらと心から願っております!
本日はインタビューにお答えいただきまして誠にありがとうございました!!